【このファイルは現在作成中です。途中経過になりますがどうぞご覧ください。】
70年代後半のYAMAHA FG-201のリペアのご依頼をいただきました。 押入れにいつから押し込んでいたかわからないくらい仕舞い込んでおられたそうです。工房にお持ちいただいた時には、ケースに入れて保管していなかったため、ホコリや汚れがヤニのように全体に張り付き、ベタベタした感じでした。 ご依頼は、とにかくもう一度弾けるようにして欲しい、できれば弾き易くていい音になれば嬉しい・・・良いですね、好きですこんなご依頼(笑)
ネック調整、フレットすり合せ、弦周りのTusq化、全体クリーニングを行わせていただきました。
ネックの状態は極端に順反りです。 真っ黒になったカピカピの弦を外してもこんな状態だったのですが(う~ん、分かりにくいですね。ネックの反りを撮影するのは難しいです。)、ロッドが既に回り切る寸前で、ロッドだけでは対処できずに一度だけネックアイロンで矯正しました。
指板もフレットもホコリ等の汚れがたまっています。 この指板は汚れを取った状態です。指板の汚れ除去に私はベンジンを使っています。ジッポーのオイルを使う方も多いようですね。 押弦による轍がありますが、フレットは打ち直しでなくすり合わせのために、全体的にきれいに削り取ることはなかなか難しいです。 単純にフレット間の凹凸を消すようにサンディングしてしまうと指板Rが狂ってしまうので、Rを意識しながら慎重にサンディングする必要があります。
フレット際の汚れをマイクロチーゼルを使って取り除きます。
指板クリーニング後にレモンオイルをたっぷり塗り込みます。
すり合せのために、指板をマスキングテープで保護しています。 ボディはアクリルボードで保護しています。
これはフレットの凹凸を確認しているところです。 凹んでいる箇所にマーキングします。 さて、この作業で一番大事なことって何だと思います? それはやはり指板の直線性なんだと私は思っています。 ただし、この時点での直線性は仮のものです。弦のテンションが加わるとネックの状態は変わり指板の直線性も当然変わってきます。 そこを見込んでの仮の直線性。 ネック調整と非常に関連した作業になってくるのです。
赤いマーキングが消えるまでフラットファイルでフレットの頭を削って行きます。
フレットを山形に削るための専用のヤスリでフレットの頭を削って行きます。 私はこの作業に5本のヤスリを使っています(多いかな~)。
紙やすり(#600)でフレット上に付いた傷を粗研磨しています。
スチールウールで研磨すると、表面の滑らかになりピカピカになってきます。
研磨パッド(#2000)で仕上げて行きます。
ピカピカのフレットに仕上がりました。 指板の凹凸を慎重にサンディングして消しました。
新しいナット製作にかかります。 オリジナルのナットをはずしました。
ナット溝に残っている接着剤をマイクロチーゼル、ヤスリ等で取り除いて行きます。
オリジナルのナットをはめてみると、ナット溝の幅が狭く、塗装面にナット底面が乗ってしまっています。 溝幅を2mm拡幅することにしました。
綺麗に取り除きました。 ナット溝中央にあった穴・・・これは何のために設けているんでしょうね。YAMAHAのFGだけでなく他のメーカーでも見かけますが、サウンド的には無い方が良いように思います。この必要性をご存じの方は教えて頂けると嬉しいです。・・・をマホガニー材で埋めておきました。 溝幅もオリジナルから2mm拡げています。
新たにTusq材からナットを作製します。
ナット溝に合わせてサンディングして行きます。
ナット高も1フレットに合わせて罫書き、削り取りました。
溝にピッタリ収まっています。
6弦側です。 底面、側面がピッタリ収まっています。 底面、側面がピッタリ接触することで良い音質が期待できる訳です。 この削りだしはとても神経を使う作業です。
1弦側です。 ピッタリ収まっています。
オリジナルナットから1弦と6弦の溝位置を書き取ります。
専用スケールで残りの2弦~5弦の位置を書き写します。
書き写した溝位置ごとに弦の太さに応じた専用のヤスリで溝を削って行きます。
画像はいきなり整形、弦高調整を終えた完成したナットです。 ちなみに、ナットの弦高調整はサドルによる弦高調整を終えた後に行います。
次に、サドルの作製です。 Tusqのブランク材からサドル溝に合わせて切り出して行きます。